2019年08月02日

間違いを正せ!

お待たせしました、そしてこの局面で更新できてよかった(実はプライベートがかなり緊迫してきた)
『彼方へと送る一筋の光』第16回です。
今回でグリマルディ伯爵を中心とした陰謀の全容が判明いたしました。
今日はこれを踏まえまして、ちょっと長文を記させていただきます。

何を書きたいかと言いますと。
実は、懺悔です。

この作品が、これほどスローペースの更新となり、挙げ句の果てに七年も放置されることになってしまった、最大の理由について。



昨日のTwitterで、この五年間小説が全然書けなかった理由が、開腹手術の後遺症かもしれない、ということを呟かせていただきました。
うん、それもある。この話だけではなく、別のものもまったく書けなくなったから。
(実は一度立ち直りかけたんだけど、その真っ最中に身内が立て続けに亡くなったんです。そこからまた駄目になったんだよね。あまりの手続きの煩雑さと続くお弔いに疲弊したんだと思う)
でも、本当のところを言えば、この『彼方へと送る一筋の光』が進まなかった最大の理由は、それじゃない。

この物語の結末のプロットが、納得がいっていなかったからだ。
それなのに、私が見切り発車してしまったことが、最大の失敗だったのだと思います。

この話はご存知の通り『彼方から届く一筋の光』とワンセットです。
オフェリア救済であるあの物語は、禁書とザクセングルスが存在しないと成立しません。
やはりそれらがどうやって生み出されたのか、という物語は省略できるものではありませんでした。
ですから『彼方から届く一筋の光』を書き始めた段階で、『彼方へと送る一筋の光』のプロットはできてはいたんです。
ロスマリンがどのようにしてカイルワーンと出会い、運命を知り、ブレイリーと出会って恋をして、ザクセングルス初代夫妻となっていくのか。
ただ、これのツメが甘かった。
休載前にコメントいただいていました。
「貧民出のブレイリーは、ロスマリンと本当に結婚できるんですか」と。
本当にそうなんです、ブレイリーとロスマリンの結婚は、本当にハードルが高い。バルカロール侯爵夫妻は、どうやったら二人の結婚を認めてくれるのか。そこが最大の問題でした。
それで起こるのがこの、グリマルディ伯爵による結婚強要事件です。
この伯爵の狼藉からロスマリンを救い出し、それをもって結婚を認めてもらう。そういう筋書きでした。
が。
この話の連載を始めた段階で、実は自信がなかった。詰まるんじゃないかという予感があり、事実詰まった。

それは結局のところ、この結婚強要事件からの下りを、私が面白いと思ってなかったってことだ。
自分で面白いと思ってないことは、まず書けない。

それがこの話が、前作に比べて非常にローペースに推移してしまい、挙げ句に休載してしまった、一番大きな理由だったと思います。
そこに体調不良だなんだと重なってしまったので、もう駄目だと思った。
もう一度仕切り直せるとは、今年の初めまではかけらも思っていなかった。

そこから七年。また書き始められるようになった経緯は、本当に桶屋が儲かる話なので省きます。
ですが一番大きいのは、あることに気づいたことでした。
ボラプの感想を延々書いて、何に役立ったのかというと、実はこのことを体得したことでした。

それは「視点を動かす」

先の日記にも書きましたが、今回の連載のターニングポイントはあれです。セプタードの一言。
「俺がどんな思いでいたと思ってるんだ」
あれを叫ばれた瞬間、気づいたんです。
視点を動かせ、別の人間の視点から全て見直してみろ、と。
そうしてセプタードの視点から、その後ルイスリールの視点からも見てみて、気づいたことが沢山ある。

私は、ブレイリー・ザクセングルスという男が、判っていなかった。
あの男を評価するには、奴自身の視点じゃ駄目なんだ。奴に同調しちゃ駄目なんだ。
奴は別の人間の視点から、客観視しないと駄目なんだ。
そうして判った。奴の自己評価と、客観的な評価との間には、著しい乖離がある。
奴自身が、一番自分のことが判ってなかったんだ。

そのことに気づいた結果、この物語がどうなったのか、ということの詳細は、3回後の裏話に記させていただきますが、とりあえず。
これにて私は、納得のいっていなかった七年前の結末部分のプロットの破棄に成功しました。
ここから結末までは、すべて今年の5月に再開してから建て直したものです。
それは間違いなく、七年前のものより面白い。
少なくとも私が書きたいと思ってる。
書けないものは、進まないものは、間違いなくどこかが間違っているんだ。そのことを、今回も実感しました。
これがもうちょっと早ければ、とは思うものの、多分これだけの時間がかかった理由こそ、手術の後遺症でしたかねえ……時間が必要だったのかな、と思うことにしました。

そして今回の更新部分、結婚強要事件の真相とメルル・ブラン。
これもまた、視点を動かしてみた結果、導き出された結論です。
正直に言います、最初のプロットでは、今回の一件、グリマルディ伯爵の端的な横恋慕でした。
ロスマリンを手に入れたいという、短絡行動でした。

詰まるの当然だ、面白くねえ!
救出作戦、盛り上がらねえ!

黒幕、黒幕いないのか! 何か理由はないのか! と唸っていた時、ふっと気づいた。
黒幕が外国じゃないかというのは、さんざ示唆されている。
外国の視点に降りた時、アルバはどう見える?
その瞬間、がっくりうなだれましたよ。
判った、と。

カイルワーンだ、と。

というのが、今回の顛末です。
これを語ってもらうために、予定になかった新キャラが登場となりました。
メルル・ブラン、サフラノ王女です。
今回のちらりだけではもったいないくらい、クセのある人物ではありますが、これ以上彼女が出張ると話が終わらないのではなかろうか。
ただでさえ、クライマックスが長くなっているというのに。
彼女がこれからどれくらい出張ってくるかは、書いてみて勝負なんですが。
彼女の言ったことがおかしいと、素っ頓狂だと私は思っていません。
であると同時に、反省もしました。
同じこと、普段から自分もしてる気がするぞ、と。
自分に見えているもの、知っていることだけで類推しても、その中心となっている一番重要な事実を知り得ていないのならば、それは大きく的外れなものとなっている可能性が高い。
その推論を振りかざし、真実だと思い込むのは極めて危ない。
そう思わされましたよ。

で、今回とんでもないことを色々言われてしまった可哀想なカティスについてなんですが。
ロスマリンは怒ってましたが、カティス本人は腹抱えて笑ってそうな気がするんだよな私は。
そして奴は、自分のことは誰にどう思われてもいいと腹くくってそうだし。
カイルワーンと自分の間のことは、判ってほしい人には判ってもらえている、という確信があるでしょうしね。
ただ一点、奴がなぜ女っ気がなかったのか。
カイルワーンがレーゲンスベルグに来て以降――正しくいうと本編5章で、エルマラに怒られて以降、まるで女性に触れなくなってしまったのか。
これについては、本編でセプタードが端的な回答を口にしてしまっているのですが、それだけではあんまりなので、掌編にしたてようと思っています。
もしかしたら、次回更新はこちらになるかもしれません。
ええ、その真相を一番よく知っている人物、アデライデが言いたいことがあるそうなんですよ。
こちらもまあ、ぼちぼちで愉しみにしていただければ思います。

本編次回更新は、いよいよ救出作戦。
残っている部分で一番難しいの、ここだと思うので、ちょっと時間ください。
アクション大の苦手人間ですが、頑張ります。
posted by Sae Shibazaki at 21:35| Comment(0) | 小説執筆
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