2020年09月29日

『彼方へと送る一筋の光』完結に際して

本更新をもちまして『彼方へと送る一筋の光』は全編完結いたしました。
今回の更新、そして全編を読んでくださった皆様に、心より感謝を申し上げます。
Twitterには十年弱と書いたんですが、今ちゃん調べたら、第1回の掲載が2009年5月1日。
11年が経過していました。
これについてはもう、もう伏して詫びるしかない事態です。

本当にもう、皆様、よくぞ覚えていてくださった……。
本当に申し訳ありませんでした。

11年かかりましたが、無事に完結いたしました。
そして11年前に想定していたものより、遥かに面白くて納得のできる結末を迎えることができたと思います。

今回もネタバレで少し語りたいと思いますので、続きは追記で。
少し今後の予定についても、記したいと思います。





『彼方から届く一筋の光』は何度か記しましたが、私にとって完全に想定外の物語でした。
オフェリアのガルテンツァウバー拉致は、物語の本筋から言えば余談です。
いかにしてロクサーヌ朝がイントリーグ党によって滅んだのか。
なぜ、どのようにしてアイラシェールのことが市民まで漏洩し、外国がどのように加担したのか。
その過程でしかない、と言ってしまえばそれまでです。
そして本筋がああいう経過を辿る以上、オフェリアのその後を本編で記すことは無理でした。
ですから「まあその後のことは想像してください」という投げっぱなしジャーマンを繰り出すことになったわけなんですが、読者の皆さんから「どうなったの!」と言われることは当然です。
その結果、紆余曲折と思いつきから始まる力技で、あのオフェリア救済の物語をひねり出したわけなんですが、これによってさらに説明しなければならないことが生まれてしまいました。

ロスマリンが禁書を生み出したことは判る。
でもブレイリーとどうして結婚することになったんだろう。
どうやって結婚までこぎ着けたんだろう。

その結果「書かねばならぬ」という事情で始めたのが、本作『彼方へと送る一筋の光』です。
がその経過は、11年前からお付き合いくださいました皆さんならご存知かと思います。
難産もいいところでした。7年の救済に至る前も、とにかく筆が乗らなかった。
やはり私のプロットの立て方が甘すぎた。その見切り発車のツケが、この年数です。
本当にこのプロット、前半のカイルがいるところまではよかったんだけど、ブレイリーが出てきてからがてんで駄目だった。
だから詰まってほったらかすことになった、というのがスランプの一番の原因だと思っています。
(まあ子宮筋腫の悪化も大概だったですけどね。人間らしい生活送れてなかった)


そうして7年。書けずにいた後半プロットを大幅に変更した結果、本作はこのような形で結末となりました。
ブレイリーの設定が変更になったのは私自身も驚いたし、その結果としてあいつの後半生も変わってしまいました。
よもやバルカロールの婿となろうとは。ここまでエルフルトやリフランヌに気に入られようとは。
カティスとの縁を、こんな形で結び直すことになろうとは。
全てが想定外です。
ですが、その結果を考えた時。侯爵邸にやってきたカティスを迎えるブレイリーを想像した時。
彼が本当に嬉しそうに笑っている。
彼の未来を考えた時、いつも穏やかで慈しみに満ちた笑みを浮かべている。
そんな顔しか私の脳裏に浮かばない。
そう思った時、心底これでよかったのだと思いました。
そしてこの結末に至るまで、ちゃんと書き切ることができて本当によかった。そう思います。

今回二人の子どもたちのことについて、かなり詳細に記しましたが(名前まで出すつもりはなかったんですが、想定外に全員ぽんぽん決まってしまった)この時代のことを書くつもりは今のところありません。
漠然と「こんな感じだろーなー」というくらいのことはあります。
リュシオールが「王家と親密でいられるのも僕たちの時代まで」と言っているように、ロクサーヌ三兄妹とザクセングルス四兄弟はバルカロール侯爵邸で会う仲のいい友達です。そこにアイルの三兄弟とルイスリールの子どもが絡んでドタバタ、ということは漠然と考えていますが、プロットというものにもなっていないので、書く機会があるかどうかも判らないネタとして、今は留めています。
本作はモス家が興ったところで終了しましたが、あと140年あるので、レインはクレステッドの曾孫が玄孫くらいかなと思っています。レインもセプタードの直系の子孫だと今回明らかになりましたが、ヴァルトはヒースクリフの直系子孫なので、血縁というにはすでに離れすぎているのが実情です。
アイルの家は常にザクセングルスに寄り添いながら、けれども決して一緒にはならない家として、1200年代まで続いていったのでしょう。『粉粧楼』という酒場を経営しながらも、やはり剣の家であることはヴァルトラウトに見るとおりです。
ちなみに傭兵団を家業にしていたローレットは長男ランドレイからの家、最も沢山の総領を出したまさに本丸。貿易船団を持っていたヘイワードは次男リュシオールから興り、「金融やってる家もある」といっていたその家も次男の系統、工房を構えて手工業を行っているのが三男アロンジェの系統です。
他にもまだ色々家業を持っている家があるかと思います。そんな感じでザクセングルスは二百年、レーゲンスベルグで禁書を守り、初代ブレイリーとロスマリンの遺志をレインへと繋いでいったのでした。

『彼方へと送る一筋の光』はこれで完結いたしましたが、まだこの時代の話は終わっていません。
今回のプロット変更の結果、本作では説明できなかったことが出てきてしまいました。
実のところ、ブレイリーのことはまだ半分くらいしか語れていないんです。
ブレイリーの過去とグリマルディ伯爵の反乱には、まだ解決していない疑問があります。
そしてそれは、カティス・セプタード・ブレイリー三人の子ども時代と密接に関係しています。
カティスを出生の背景には、紛れもなく何者かの作為があります。それを本編ではアンナ・リヴィアは「墓の中まで持っていく」こととし、決して明かしませんでした。
それに次作は、もう一歩だけ近寄ろうと思います。
次作『蒼天抱くは金色の星』
セプタードの視点から描く全編裏面史であり、ある意味32年に及ぶセプタードの一方通行片思いの記録です。
来年初めに連載を始められればと思います。

本年の残り三ヶ月は、予告していた再録本の編集と、番外編の外部サイトへの転載にあてる予定です。
再録本の進捗は、Twitterで逐一ご案内することになると思います。
期間限定完全受注生産(つまり在庫は作りません)の予定です。
受注開始時には、サイトでもご案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
また次連載前に、また小話など掲載できるかもしれませんので、チェックしていただければと思います。

最後にもう一度、御礼を申し上げます。
本当に長らく本作にお付き合いくださいましてありがとうございました。
もしお気に召していただけのなら、またお付き合いいただければ幸いです。
posted by Sae Shibazaki at 16:16| Comment(6) | 小説執筆
この記事へのコメント
番外編完結おめでとうございます。

昨年、偶然番外編が再開したのを知り、嬉しくて嬉しくて本編から再読してしまいました。

ロスマリンの物語を完結していただいて本当にありがとうございます。

小話も楽しみにしています。
Posted by 通りすがり at 2020年09月30日 10:34
>通りすがり様
覚えていてくださってありがとうございます
本作、無事完結しましてロスマリンとブレイリーも幸せになりました
また楽しんでいただけたのなら何よりです

小話は色々あるんですが、編集の合間を見て進められればと思っています
突発的に来るかもなので、また様子を伺ってやってください
Posted by 柴崎 at 2020年09月30日 23:17
endingと、blogまで読みきりました!

本編更新中からお世話になっておりました。壮大な物語を最後までありがとうございました。
そして次回作の予告まで!!!まだまだ終わらない。完結を楽しみにしていたけれど、終わってしまったロスに陥りそうな所を続編にワクワクが止まらないです。

色々感想を書いたら明日の朝になりそうですが、
ブレイリーが幸せな余生を送れて良かった。
途中本作のあの二人の幸せな時間が読めて良かった。
カティスのつかの間の安息ができて良かった。
ロスマリンが想像通りのおばあちゃまになってて良かった。

また本編から読み直してきます!
これ、本にならないですかね。手元に形として置いておきたいくらい大好きです。
また伺います。

完結おつかれさまでした。最高です!
Posted by とろこん at 2020年10月01日 17:59
>とろこん様

早速の感想、ありがとうございました!
舞い上がりながら読みました。
彼らが苦闘の末辿り着いた幸せを、喜んでいただけて何よりです。
正直ほっとしました。
なにせ7年もたちました。本当にこの話喜んでいただけているのか、いささかも自信なかったんですよ。
私は書きたいように書いているのでそれでいい、とは思っていましたが。

本のご要望、この番外編をということですよね。
実はこの二篇、本をするにはかなり中途半端な長さなんです。
『彼方へ送る一筋の光』が一冊では収まらない。
『彼方から届く一筋の光』が一冊にするには短い。
とりあえずは本編の編集が先なので、それが終わったらどうにかできるか考えてみます。
ただまあその、本編もそうなんですが、部数刷れないので安くならないですよ。
そこが悩みどころです。
Posted by 柴崎 at 2020年10月01日 23:21
日曜日に、たまたま2014年のSS創作掲示板で「それでも朝日は昇る」の紹介を見て、月曜日からなろうで本編を読み始めました。仕事に支障をきたしながら読むのを止めることができず、本日『彼方へと送る一筋の光』のエンディングまで辿り着いた次第です。
本編も十分に堪能しましたが、『彼方へと送る一筋の光』には更に引き込まれました。
ロスマリンとブレイリー。二人の一人称を通じて初めて浮かび上がる英雄達の心情。自分が感じている自分と他人が感じている自分との差違によりもたらされる哀しみと喜び。圧巻です。
とはいえ、カイルワーンの最期の謎を知りたく読み進めた私としては、「まだか!」と焦らされ、更に増える複線に悶絶しています。
次作の公開を心待ちにしています。
できるなら更新がわかりやすいという意味でも、また、この一連の名作をより多くの方々が目にして欲しいという意味でも、なろうでの同時更新を切望します。
Posted by 雪月桜 at 2021年03月04日 01:07
>雪月桜様

コメント拝見しました。そして『小説家になろう』のレビューも拝見しました。
あちらからお越しでしたか!あちらでは長年沢山の方にご紹介いただけて、感謝することしきりです。
カイルワーンの失踪理由については、以前は「皆さんの出した答えが正解」と思って、私自身が答えを書くつもりはなかったんです。
ですが『彼方へと送る一筋の光』を書くことになって、そこからまた時間が過ぎてみて、やはり「喪失にきちんと向き合わなければ人は先へは進めない」と思うようになりました。
ですので外部サイトへの転載にあたり、『彼方へと送る一筋の光』はその辺りの大規模な改稿を考えています。
そして次作では、もう一歩踏み込んだ描写をするつもりでいます。
次作をどこで更新するかは、進捗をみて検討します。
判りやすいのはいいことなんですけど、どうしても更新間隔が間遠なので……
Posted by 柴崎 at 2021年03月04日 21:30
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