2008年09月16日

雨が、雨が来るっ!

旅行記を書くといってから一週間がすぎてしまいました柴崎ですこんばんは。
いや、何と言いますか、怒濤の一週間でした。
色々ありましたが、一番なのはアレだ、うちの家族。
本人たちに罪はないのは判っているが、それでも叫びたいぞ。


入院だの交通事故だの突然の午前様だのは、一日一名様限定にしてくださいっ!
揃いも揃って全員で同じ日に、そんなビッグリイベントをやらかすんじゃない!
(しかも午前様をのぞいて、全員翌日に元気に復帰というのは、笑うべきなのか喜ぶべきなのか呆れるべきなのか)


そんなわけで、記憶もぼちぼち薄れ始めていますが、書いてみようと思います横浜旅行記。
某Eさんが「凍死寸前」のくだりが気になると仰っているし。
興味のある方は、どうぞお付き合いください。


今回の旅行の目的は、横浜スタジアムで行なわれたライブです。
野外です。
9月です。
台風シーズンです。

雨対策、どうしたらいいんだろう。

私は野外のイベントの経験値が、ほとんどありません。
唯一行ったことのある野外ライブは、月と虫の鳴き声が美しかった記憶があるほどの晴天だったし。
(そしてあの時、雨対策を何も考えてなかった当時の己は若かったというか怖いもの知らずだったというか)
やはり合羽は持つべきだろうか。
でも9月の初め、まだまだ暑い横浜の夜に、ビニールの合羽を着たらどうなるんだろう。
蒸れるのではないか? かえって暑さで体調崩したりしないのか?
それに場のノリ的に、どうなんだろう?

結論として、私は合羽を持っていかなかった。
これが最初の間違い。

9月でまだまだ横浜は暑いし、ホテルは会場のすぐ近くだし、タオルは会場で買うつもりだ。
ずぶ濡れになったところで風邪引くこともないだろうし、ライブが終わったら、すぐホテル戻って着替えればいいし。
そうタカをくくっていたのですよ。
これが後に、あんな事態を引き起こすことになるとは、その時には想像もしてませんでした。


出発は、ライブ当日の9/7。
始発のこまちに乗れば、9時50分には東京です。
関内のホテルに荷物を預けて、同行者のRさんと関内駅で落ち合ったのは11時過ぎ。
日差しが痛いほどの晴天でした。
お昼を予約していたのが12時だったのですが、それまでの時間をつぶして歩くのが辛いほどの日差し。

横浜スタジアムのすぐ横、中華街はもう楽しくなるくらいご同志にあふれています。
いやもう、皆さん考えることは一緒ねと。
Rさんと、ちょっと頑張っていいお店で飲茶をのんびりして。
中国茶のお店と雑貨屋さんをひやかし、薬蜜屋さんでお茶と蜂蜜トーストを甘いよ、多いよと言いながら完食し。
その時携帯でのぞいた、3時発表の天気予報。

横浜の天気予報、晴れのち雨。
横浜市中区のピンポイント天気予報、晴れ。

私はどっちを信用したらいいんだろう?
こういう時に、信じたいことしか信じないのが人間という奴だと、赤い髪の誰かさんが言っていましたが、すっかり忘れていました。

つまり次の間違いは、この時点で合羽を買わなかったこと。
合羽を買える場所を、探そうとしなかったこと。
(ちなみにスタジアムの中で買えたんですよ……本当馬鹿だった)

開演が5時でしたので、4時に開場入り。
日は大分傾いてきましたが、日差しはまだまだ強く、うだるような暑さです。
あ、グッズ売場空いてますね、並ばずにラッキーと思ったら。

この時間でもう、タオルがないですと?

これが3つ目の間違い。
グッズを買うなら、もっと早く並ぶべきだった。
これほど大きいライブに来たことなかったから、この時間に完売するものが出てくることを知らなかった。

まあ雨が降っても、タオルハンカチがあるしと、たとえ濡れても(以下同文)
それがどれほど甘い考えだったかを思い知らされたのは、その1時間15分後。
つまり、開演の15分後。

そう、たった15分だけだったんだよ晴天だったのは……。

開始4曲目、まだ最初のMCにさえ入っていない時のこと。
それはもう感覚で判った。
むき出しの肌で判った。


今、突然、気圧と気温が急降下しただろ。
(※帰宅後アメダスで調べたところ、事実5時に29度あった気温が、6時には22度まで落ちていた)

これが意味するところは、某海賊漫画の航海士でなくとも判る。
もう感覚で判る。


雨が、来る。


スタジアムの観衆が、曲の途中であるにも関わらず、一気に上の空になった。
まだ雨は降りだしていない。それなのに、誰もが慌てだす。
合羽を取り出す者、荷物をビニール袋に封印する者。
そのあまりのばたばたぶりに、最初のMCでA氏に「お前ら聞いてないだろ」と言われてしまう始末。

だって、だってA氏!
あなたは自分の後ろ、見えてなかったでしょ。
観客はその時、見てたんだよ!


あなたの背後から、すでに放電を始めている黒雲がずんずんスタジアムに迫ってきているのが!
雨が降るんじゃない。雨が迫ってくるのがもう、目に見えて判る!


いやー、来るなー!
来るなー!


そうマジで(内心で)叫んだところで、どうなるわけでなく。
そこから先はもう、ただの一言で表現できる。


凄絶であった、と。


かなり傾斜の激しいスタジアムの階段は、滝。
一番ひどい時は、雨に叩かれて目も開けていられない。
雷はどんどこどんどこ落ちまくり、曲間にでかいのが落ちた日にゃ、スタジアム中に悲鳴が響く。
スタジアムの中心に据えられたセンターステージでやってくれた曲は、念願の『アゲハ蝶』だというのに、私とRさんが呟いていたことは。

「落ちるー、あんなすり鉢の真ん中で電気楽器なんて、雷落ちるー(涙)」
「ああ、あの雨じゃバイオリンが死ぬーーッ!(涙)」

事実、H氏のギターはどんどんおかしくなり。
A氏のマイクは一度歌っている最中で死んだ。
不自然に音が途切れることがあったのは、音響周りに異常が出ていたのではないかと。
正直言って、よくまあ荒天中止にならなかったものだと、今でも思う。

そしてこれほどしつこく合羽を持っていかなかったことを後悔した私ですが、その結果どうなったかというと。
まず、芯までずぶ濡れになったのですよ。
あまりの状態に見かねたRさんがありがたくもタオルを貸してくださったのですが、それで拭いても拭いても追いつかない。
拭いては絞り、絞っては拭くをやっていくなか、ある時ふっと風が吹きまして。

体温が、一気に持っていかれるのが判った。

寒い、というのともちょっと違う。体の表面に残っていた熱が、根こそぎぬぐい取られていく感じがした。
そしてその瞬間、胃が痙攣した。
震えがはしるでも、鳥肌がたつでも、くしゃみや鼻水が出るでもなく、はっきりと胃だけが震えた。

その時脳裏をよぎったのは「低体温症」の一言。
もし、この風がこのまま吹き続けたら。
この調子で、体温を持っていかれ続けたら。

私は、冗談抜きで、倒れるんじゃないのか?
その時真剣に、そう思った。

幸い、冷たい風がその後吹くことはほとんどなく。
結論から言うと、正味3時間のライブ中、私はもちました。
もちました、という書き方をしなければならないくらい、過酷ではありました。

過酷ではありましたが、それではライブとして楽しくなかったかといえば、それは別で。
楽しかったんですよねえ、凍死寸前の気分を味わったというのに。
やっている方も、支えたスタッフも、見ている方も必死ではあったと思うんですが、それ故のテンションというものもあるわけで。
(ただ、まあ、チューニングがガタガタになったのだろうために、素晴らしくびよんびよんだった『メリッサ』のギターソロを思い出すたびに、H氏が気の毒でならない)
そしてやっぱり、あの場で『ギフト』を聞いてきたのが、今回何よりも大きかったと思います。

もうね、ぐっさり刺さった。

ご多分に洩れず、ここのところぐだぐだ悩んでいたのですが、それを「悩んでいる自分に酔っている」と言われたら、そりゃあもう泣くしかない。
『ミュージックアワー』もそうだけど、どうしてあの方たちは、明るい曲調で、ああもざっくりぐっさり刺さる曲を書くんだろう。
こういう曲を出される限り、ファンやめられないじゃないですかまったくもうありがとうございます、ですよ。

最初はRさんと夕御飯を食べて帰るつもりでしたが、もうそれどころじゃありません。
とっととホテルに帰って、何とかしないとです。
それでもこの格好でホテル入るのは迷惑だよな、フロントに電話して、タオル持ってきてもらおうか――そんな考えは、ホテルの入口で吹っ飛びました。


なんだこの難民キャンプは。


ホテルの入口は、同じ状況に置かれた沢山の、それは沢山のご同志があふれ返っていました。

そうだよな、このホテル、JRの新幹線つきプランで格安だったもんなあ。
結局みんな、考えることは同じなんだよなあ……。
そんな遠い目になっている余裕はありません。
並ばなければチェックインもできません。
並ばなければエレベーターにも乗れません。
並ばなければコインランドリーも使えません。
本当にもう、気分は一言。

戦わなければ生き残れない。

かくして横浜初日の夜は、過酷に過ぎていったのでした。
そして突っ込みどころ満載だった横浜二日目は、次回に。


ちなみに、私が洋服の洗濯と乾燥を終えたのは0時半のことでした。
まだまだ乾燥機待ちの列は、ランドリーに続いていました。

今回の旅行で一番気の毒だった方は、ランドリーの隣の部屋に泊まっていた人かもしれない。
ライブに関係ない、一般のお客さんだったら、本当にごめんなさい。
合羽を着ていた人間ですらもう、どうにもならなかったんだ。
そしてうちのホテルは、ライブの客が、あまりにも多すぎた。
これは私たちだけのせい、ではないと、そう思いたい。
posted by Sae Shibazaki at 23:46| Comment(0) | 旅行
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