でも本当に一番長く、一番重いのはこの二日目です。
ライブとこの日と、メインイベントはどっちだったのかちょっと疑問になる二日目。
先にお断りしますが、猫が大嫌いという方は、今回ばかりは決して進まれない方がいい。
この注意を無視して先に進まれても、苦情の類は一切受け付けませんので、あらかじめご了承ください。
(いや、どうしてこんな注意書きをわざわざするかというと……身内にいるから判るんだ。駄目な人が、どれほどまでに駄目なのか)
今回、RさんとTさんからリクエストがありました。
「宮城に行くのなら、行ってみたい場所がある」と。
次の機会があるか判らないし、これだけの面子が揃うのなら実行しちゃえ! ということになったのですが、これが今回の旅行最大の難関でした。
私たちは、朝9時まで石巻に着かないとならない。
仙台−石巻間は60キロ強。
しかし、頼んでいたレンタカー屋が開店するのが7時半。
1時間半で、何がなんでも石巻に着かなくてはなりません。
でも朝御飯は食べないといけません。なぜなら目的地には、昼御飯まで持参しないといけないのですから。
前日倒れるように眠り込んだ一同、7時にちゃんと集合できました。
7時開店のパン屋さんに飛び込んで朝食。そして昼食分も買い込んで、開店したばかりの駅レンタカーに飛び込んで手続き開始。
なのですが。

私は、君によく似た奴を知っているよ。
多分、君の兄弟だと思うんだけど、どうだろう。


Tさんちのオオミヤ君(左)と江草さんちのチバちゃん(右)
(写真提供は勿論江草さん)
よく似てる二人より大きいので、多分長男なんだと思います。
内心で宮城銀一郎と名づけさせていただきました、たった今。
勿論愛称は一郎のアニキです。(人んちのペンギンに勝手に名前をつけんな)
そんなこんなで車を受け取ったのが7時45分。
仙台駅東口から、国道で高速へ。
言うまでもなく、ラッシュ時刻ど真ん中です。
高速に、高速に乗っちゃえば! とじりじりした思いで運転していたのですが、翌日になって気づきました。
ナビが遠回りルートを指示していたことに。
しかもその道が、工事中で車線が大幅減少になっていたことに。
ちょっと、ナビ子さーーーーんんんっっ!
そんなこんなありましたが、8時55分に最初の目的地・石巻港に到着。
車を停めて、大慌てで走ります。
待ってください! その船乗ります!
そうです、私たちは離島に渡ろうとしていたのです。
その島に行く船は、一日たった3便。
朝のこの船を逃すと、昼まで船はないのです。
そして昼の船で渡ると、島からの戻り便はもう夕方の1便しかないわけで。
万一の欠航の危険を考えると、朝の便で行き、昼の便で帰りたい。
それが朝の強行軍の理由でした。

写真が暗くて、天気が悪いように見えますが、実際は薄曇り。
デッキに立つと風が強いくらいで、快適な船旅でした。
そうして辿り着いた島の名は、田代島。
周囲11.5キロ、人口100人の小さな離島、そして知る人ぞ知る猫島です。
大漁の神様として猫を祭っており、現在では島民より猫の数の方が多いとか。
私たちの乗船した「網地島ライン」は田代島の大泊港、仁斗田港を経て、隣の網地島へと向かうのですが。
私たちはまずは大泊港で下船して、近隣にある猫神社へのお参りへと向かいました。
が。

いままで登ってきた道と。

これから登っていく道。
正直に言います。
紛うことなく山です。
前日のライブですでに、アンコールのコールがかかっている最中、立っていられなかった三人です。
足が悲鳴を上げますが、行くも戻るも結果は同じ。だとしたら行くより他にしかたありますまい。
だって、まだ一匹の猫にも出会ってないし!


かくして辿り着いた猫神社は、とてもかわいらしい祠でした。
綺麗に彩色された石や、猫缶などが沢山お供えされています。
社の屋根には、ちゃんと猫様も鎮座ましましているし。
三人三様にお参りをして、さらに山道を登っていきます。
当然、まだ猫はいません。
というかそもそも、私たちはまだ大泊港以降、一軒の人家も見ていません。
「こんなところで猫に会ったら、それは家猫じゃなくて」
「山猫、だねえ」


廃校になった学校(注:現在は自然教育センター)近くで今年最初の桜を眺め、遥か牡鹿半島や金華山を望み。
やがてゆるゆると道が下り始め、人家が見え始めてきた頃。

第一島猫発見!
と思っていたら。


あっというまに第一島猫群に発展。
それまでの閑散っぷりが嘘のような大盛況、大歓迎モードです。
触らせてくれます。撫でさせてくれます。人馴れしてます物おじしません。
しかし、決してごろごろ言って喜んだりしないあたりが、野良の矜恃だと仰るお二人。
でもどの子も毛並みがよくて、島の人たちに大事にされているのが判ります。
第一島猫群にしばらく構ってもらった後、さらに道を下りますと、道の向こうから駆けてくる人影ならぬ猫影あり。

第二島猫発見! と思っていたら。

案の定、あっという間に第二島猫群になるし。
ずっと着いてきてくれた第二島猫と共に、港近くまで降りたら。

第三島猫が駆け寄ってきてくれて

浜辺までご同伴くださる出血大サービスっぷり。
ひねもすのたりする春の海をしばし堪能した後、一同は猫たちに別れを告げてマンガアイランドに向かいます。
この島、石ノ森章太郎氏が晩年はここで漫画を描きたい、と仰っていたところで、それにちなんで漫画による町おこしをはかっている土地です。
マンガアイランドと名づけられた一角には、ロッジやキャンプサイトなどが整備されているのです。
が。

私たち、先ほどまで浜におりましたよ。
なのに、この景色は何でしょう?

死にます。色々な意味で死にます。
特に足が。

ようよう辿り着きましたマンガアイランドに鎮座ましますは、里中満智子氏デザインロッジ。他にもちばてつや氏デザインロッジもあります。
どこまでも猫です。
中央にありますセンターハウスには、職員の方の姿が。
こんにちはー、お邪魔しますー。
ちょっと休ませてもらっていいですか。
どうぞどうぞー、という温かいお言葉に、二階のお部屋に上がらせていただきます。
色々な野外教室や、夏には漫画合宿などを行うという広いホールには、著名な漫画家さんのイラストがずらりと並んでいます。
絵描きさんたちが先人に習って一筆走らせるのを、興味津々で眺める字書き一名。
ゆっくり休ませていただいて、外で持参の昼食も取らせていただいたところで、職員のおじ様に勧められます。
ここから下ったところに、学校の浜というとても綺麗な浜辺があるよ、と。
……大変心動くお誘いなのですが。
ここからそっち方向に降りていくということは、私たちは帰りの船が出る仁斗田港に向かうために、再びここまで登ってこないとならないということになりませんか?
結論は満場一致。
無理です!
そんなわけで、ゆるゆると丘を下って仁斗田港へと向かいます。
船にはまだ時間があるけど、足も辛いし、ゆっくり港で待っていればいいよね、ということだったんですが。
だがしかし。
仁斗田港、そこは。
その日最大の猫だまり。


Tさんの指になぜか皆釣られる島猫群と、襲われるRさん。


懐かれて動けないTさんと、絶賛喧嘩中の二匹。
語り合っているのでもまったりしているのでもありません。
岸壁でガチにらみ合いの真っ最中。他の猫たちは、遠巻きに眺めておりました。


港一堂々とした風格を見せ、人が来たとみたらさっと駆け寄りアピールするその姿に、一同に「営業部長」と名づけられる美猫。
そしてまさに左甚五郎という姿で寝てた猫。
最後の最後まで、猫好きを捕らえて放しませんよこの島は。
予定通り13時41分初の船に乗って、再び石巻港へ。
たった四時間の滞在でしたが、全力で堪能しました。
そしてこのサイト的な感慨としては、もう一つの目的も達成できた気がします。
いやですね、今書いてる(というか止まっている)新作、最初の舞台、離島なんですよ。
今回徒歩で歩き回って、何となく感覚として判った気がしました。
あとはそれを、いかに原稿に反映させるかなのですが、それはそれとして。
14時34分、船は無事に石巻港に到着。
その間は沈没していたので、まったく記憶がありません。
運動不足の昨今、これだけ歩いた日もないだろうという一日。
実は、まだ終わっていません。
そうです時刻はまだ14時半。
この後一行がどこに向かったのか、という話は次回へ。
管理人さん
しっかし・・・・猫がいっぱいですね^^;
こんなにいるとなんか壮観っていう感じですね。あはは・・・
でも、漫画家の里中さんがデザインしたという家を見た瞬間、いけないと想いつつ、大爆笑したのは内緒にしておいてください。
お返事が遅くなりまして、失礼しました。
取りあえず私たちが出会った合計で30匹くらいですが、200匹いるという触れ込みなので、それでもごく一部なのかと。
それでもこの日は天気がよかったので、遭遇率が高かったらしいことは、後で判りました。
ロッジのデザインについては……おとっつぁん、それは言わない約束よ、ということで。
もう一棟も、なかなか素晴らしいというか凄いというか。
ちなみにこのロッジ、予約すれば泊まれます。