2日目後半をお届けします。
今回は前半とは打って変わり、かなりディープにオタクな展開です。
しかもイマドキではなく、昭和です。
よって、読んでくださる皆様の年齢によっては、激しく意味不明かもしれませんが、そこのところはご了承くださいますようお願いいたします。
作品や固有名詞の解説はしません。だってそれをしたら、話が一向に進みませんもの。
それでは参ります、二日目後半。
田代島から石巻港へと戻ってきた一同。
車を走らせ、次の目的地へ。

北上川の中州に立つ丸い宇宙船のような建物が、石ノ森章太郎氏の記念館である、石ノ森萬画館です。
今回の同行者三人は、まあいわば石ノ森氏のつながりで知り合ったようなものなので、石巻に来た以上は「石ノ森詣で」はしとかんといけないだろうと。

石ノ森萬画館で、先生と握手!
というネタをこの写真で繰り出すのは、特オタである以上、もはやお約束とかいう以前の問題だと思います。
入館しますと、受付でお姉さんが003のコスチュームでお出迎え。
受付の横ではロボコンがスタンプを押してくれます。
が、そのたびにガンツ先生が採点。
私もTさんも100点なのに、一人0点で落ち込むRさん。
あの採点の基準は、今もって謎です。
企画展をじっくり見た後、いよいよ常設展示へ。
まず最初はトキワ荘についての展示。
完全再現された模型や、部屋割りを説明したパネルに、全員が思ったこと。
「え? F先生とA先生って、二人で一室じゃなかったの?」
「手塚先生の空き部屋に入ったんじゃなかったけ?」
一同『まんが道』の印象が強いようです。
以降「編集者となって石ノ森先生から原稿をもらおう」ゲームをとっくり堪能しながら、トキワ荘について一くさり語る一同。
時にこの日は平日。他にお客さんなどいません。
次のゾーンは009。
ディスプレイに上映されているのは、009のピンチに颯爽と駆けつける002のシーン。
そして二人で強敵に立ち向かう二人。
立ち向かう二人。
立ち向かう……
「なんでこの二人なんだろう……」
「なんでこの場面選んできたんだろう……」
「他のメンバーの立場は……」
私たちがこの二人の姿に何考えたのかは、言わぬが花です。
以降、003の視力聴力体験コーナーや、007の変身体験コーナーをじっくり堪能。
時にこの日は平日。他にお客さんなどいません。
お次はライダーです。
一号から、開館当時放映されていたアギトまで、勢ぞろいしたマスクに一同興味津々。
しかし。
「この真のマスクは」
「正直怖い」
「子どもが泣くでしょう」
時にこの日は平日。他にお客さんなどいません。
一同好きなだけに、言いたい放題です。
そうしてディスプレイでは、映像化された石ノ森作品が一挙に紹介されていますよ。
そりゃあもう一同、懐かしいだけではすまないわな。
一巡するまで、その場を離れるわけにはいきますまい。
そりゃあもう平日の夕方。
他のお客さんの迷惑になど……なっていなかったと思う、多分。
そんなこんなで、すこぶる楽しませていただいた石ノ森萬画館。
3階にはオープンに際して沢山の漫画家さんたちが寄せた色紙と、漫画ライブリーがあったのですが、パスせざるを得ませんでした。
なぜなら、この人たちでは出てこれなくなるから。
キャラクターショップでお土産を物色し、館の外に出た段階で、もう4時半になろうとしています。
一応ガイドブックや案内では「所要時間1時間」だったのですが。
……いや、あれだけ遊べば、それも当然なのですけど。
でも、これからどうしましょう。
この後実は私たち、仙台に帰る前に、松島に寄って瑞巌寺を参拝しようと思っていたんですよね。
しかし閉館時間は5時。今石巻で、松島まで30分でつけるとは思えないし、つけたところでゆっくり参拝する時間もない。
というか、石窟で有名な瑞巌寺に日没後に行ったら、むしろ怪談。
「五大堂は時間ないよ?」
「そりゃあそこなら、松島海岸に行けばすぐそこにあるわけで、入れないってことはないでしょう」
「でも」
まあ、議論してみても仕方ないわけで、取りあえず行ってみよう! ということになったのですが。
道中、こんな会話がなされました。
「実は松島のどこかに、凄く怖い場所があって」
曰く、海の上に架けてある橋が、透かしのように木組みされていて、渡っていると海面が見えると。
というか、橋板に穴が空いてて、落ちそうな気分になると。
「ちょっとそれは嫌だ」
「それは怖い」
「松島のどこだったったけ」
「五大堂だったら笑いますよね」
ごめんTさん。

ストライクで五大堂だった。
おっかなびっくり透かし橋を渡って、参拝しました五大堂の午後五時半。
夕日の赤い色に仄かに染められ、何とも風情があります。
さすがに日本三景の一つに数え上げられるだけありましょう。
東北人にとって、修学旅行の定番であります。
私も何度も来ています。
ええ。
でも。

こんなにやる気のない松島海岸見たの、生まれて初めてだわ。
確かに今日は平日。
確かに今は午後五時半。
観光客はお帰りになられたかもしれません。
でもこの広い松島海岸で、夕食を食べられそうな店がどこも開いていないというのは、あんまりではないか。
そして私たち以外歩いている日本人が見当たらないというのは、一体どういう事態なのか。
それでもやっとこ見つけましたよ、海の幸が食べられるお店。


白魚刺しと、穴子丼をおいしくいただき、長い一日もぼちぼち終わりです。
行く時にはスリリングだった道のりも、帰りは余裕です。
余裕すぎて、給油する前にレンタカー会社についてしまい、慌てて戻ることになったのですが。
ここで一同己が耳を疑う事態に。
ようやく見つけたGS、兄さんが朗らかにおっしゃいます。
「550円になります!」
ちょっと待て。
私たちは、石巻まで行ってきたんだよな?
片道60キロ弱あるはずだよな?
ということは私たち、120キロは走ったはずだよな?
な、なのに5リッター………………?
この謎は、取りあえずまた解けていません。
ただこの後「これが何かの間違いでないなら、このイストほしい!」という叫びがこだましたことは、言うまでもありません。