2012年12月15日

壊せない偶像

本当にご無沙汰しております柴崎です。
とりあえず不在の間に、当サイトにお越しいただいていた皆様と、拍手を押してくださった皆様に厚く御礼を申し上げます。
昨日なんて、一体何があった! と思うくらい拍手が鳴っていたんですが……いや、本当に一体何があったんだろう。
私の近況としては、夏バテしたりアレルギーを発端に一ヶ月も体を壊していている間に家内トラブルで胃炎起こしたりと踏んだり蹴ったりだったりしたんですが、その後仙台のNHK杯に参戦して高橋のブエノスアイレスに歓喜したり(エキシビション、ジャッジ席真上の特等席だったぜい)鈴木のOに泣いたりして、とりあえず現在は元気です。
そんな中、昨日友人E氏とエヴァQを見てきました。
見てきた結果、うざく語りたくなったので、久しぶりに出て参りました。
ほとんどネタバレはしませんが、これ以降は一応追記にて。


さて色々な話題を振りまいているエヴァQですが。
これに関しての私の感想は、ただ一言


オチを見るまで評価保留


以外の何物でもないです。
これで最後、ちゃんとオチたら何も文句言わない。
私の物語の評価基準はただ一つ「終わりよければ全て良し」だということを、某仮面ライダーで実感しております故。
ですが、完結編で説明も何もせずに諸々投げっぱなしジャーマンにしたら「またか」と一言だけ言おうと思っています。

ただ今日書きたいのは、同時上映の『巨神兵東京に現わる』のこと。
これをエヴァQの併映にしたことに対しても、賛否両論あると思う。
私は特撮オタクなので、庵野監督がどういう経歴の持ち主で、ジブリやナウシカとどういう関係にあるかも知っているし、この作品の制作経緯もよく知っている。
これを見たいがために東京の現代美術館まで行くべきか真剣に悩んだ者の一人です。
だから同時上映と聞いた瞬間「いやったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!」と絶叫したわけなんですけど、すべてのアニオタが特オタではないわけで。
事情を知らない人にしてみたら、あの作品に対して、きょとんとしてしまうのもよく判る。
無論エヴァQの内容を踏まえると、あの作品が併映として、先に上映されることの意味を、考える人は少なくないだろうし。
ただ私は特撮が好きである以上に、ナウシカが大好きな人間なので、あの作品を見て思った。



いいものを見た



はっきり言う。
心底怖かった。
子どもが見たら、あれトラウマになるわ。
だがその身に迫る絶望こそが『火の七日間』なのだと言われると、ここにいるナウシカファンは考え込むわけですよ。


だってね。
コミックス版ナウシカの読者は、知っているわけですよ。
巨神兵が、人間が作り出した単純な兵器ではなく、理性と知性を備えた「裁定者」としての「神」だったということを。
そして人類が『火の七日間』の後、何をしたのか。



『火の七日間』以降の世界を生き延びるために、一体何をしてしまったのか。



『巨神兵東京に現わる』のモノローグで、少女は言う。
「それでも生きたかった」と。
凄く単純な言葉なのだけれども。それをどう受け止めるかは、人それぞれのはずだけれども。
ただ、あの作品の後の時間には『風の谷のナウシカ』の世界がある。
そしてコミックス版ナウシカを読んだ人は、知っているわけですよ。
それでも生きたかった人類が、大災厄の後を生き延びるために、何をしたのか。


それを知っていれば「それでも生きたい」という言葉は、単純に肯定はできない。
その行為の末裔であるナウシカたちが、結果としてどんな悲劇と苦悩に直面したのか、コミックス版ナウシカのファンたちは知っているから。


でも。
その「生きたい」という気持ちが、あまりにも身に迫る。
とんでもなく、考え込むわけですよ。
それと同時に、多分、と思ってしまう。
庵野さんと樋口さんの意識の前提には、映画版ナウシカだけではなく、コミックス版ナウシカがあるのではないか、と。
だって庵野さんは、コミックス版の見せ場の一つである、サパタ戦を映像化したいと宮崎氏に願い出た人だもの。
コミックス版に思い入れがないはずがない。
とすれば、この10分間は、とんでもなく重いものを孕んでいる。

そこまで考えて。
あれ? と思ってしまったんです。


コミックス版ナウシカの人類が、『火の七日間』の後に、やってしまったこと。
それによーーーく似たもの、エヴァで私たち、目の当たりにしてるよなと。


で、結局何が言いたいかというと。
もしエヴァQを見にいって、『巨神兵東京に現わる』に、何かひっかかるものを感じた方がもしここにいらしたら。
ぜひとも、コミックス版ナウシカを最後まで読んでみてください。
人類がかつて死に瀕した時何をしたかと、それを知ったナウシカが最後にどんな選択を下したのか。その結論を読んでみてください。
その上で、エヴァを振り返ってみると、また違う感慨を持つんじゃないかと思うんですよ。

という、嘘ではないステマです。
私個人は、コミックス版ナウシカの結論は、もっと世に知られていいんじゃないかと常々思って布教して歩いているんですけど。
けれども、あれがメジャーにならないのも、判る気がします。
やっぱり、あの映画版の美しすぎるナウシカの偶像は、壊せない。
posted by Sae Shibazaki at 20:18| Comment(0) | 映画感想
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